カテゴリー別アーカイブ: 漫画家になるには

『漫画家になるには その18 そらで描くという事。』

THE SEIJI pencil Observation2漫画を描くには資料をそろえることが大事だと言ったけど、実は資料に頼り過ぎたら大変な事になる。糞真面目に写真資料に忠実に描いていると、資料無しでちょっと別の角度から見た絵が途端に描けなくなってしまうからだ。資料はあくまで参考程度に、自分の頭の中で再構築してどんな角度から出も描けるようにしよう。

特に人物はポーズ集などの資料に頼り切って描いていると全然自分で動かせなくなってしまうから要注意だ。個人的には人物は資料を見るのが嫌いというか面倒くさいので、出来るだけ覚えてしまってそらで描く様にしてる。そらで描き出すと何より早く描けるのがいいし自由に動かせるから漫画が生きてくる。

細かい服の模様などは資料を見ればいいけど、例えば電車の中なんかでおっさんのズボンの皺の法則くらいは覚えられるので、日々世の中を観察する癖をつけておこう。ネットの画像検索は便利だけど著作権の問題が絡んでくるので要注意、やっぱり参考程度が無難だ。

最少は少しくらい幼稚な絵でも気にしないで、そらでどんどん描いていこう。

 

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『漫画家になるには その17 描く前のお膳立てが大切。』

THE SEIJI pencil Set the tableネームを考えるときもペン入れの時にも、いきなり描くのはちょっとまずい。描く前に色々準備が必要だ。机の上を片付ける、手元に適切に照明をあてる、紙を数える、インクを補充する、ティッシュや筆洗を準備する、手を洗う、爪を切る、いい音楽を選ぶ、そして何より資料を調べ手元に置いておく、そんな『お膳立て』が結構大事なのだ。

しかしこれがなかなか面倒くさい。例えばかつて出てきたキャラを再び登場させる時によく覚えていなくて過去の単行本から探し出す必要がある時とかまじで面倒くさい。下手をすると余りの面倒くささについついネットで気を紛らわせたりしていつまでたっても仕事にかかれない時がある。だれかこの様な下調べや資料調べやインク切れなどの『お膳立て』を全てしてくれて目に前にポンと出してくれたら、いくらでも仕事するのになと時々思う。

手塚治虫などはどこに何を描いたかすべて覚えてたらしいが凡人にはそうはいかないし、結局自分以外誰も描く準備などしてくれないので諦めて取り掛かるしかない。しかし意外に『お膳立て』をする事で、まるで書家が描く前に墨を磨って精神統一するように、描く気力が湧いてきたりするものだ。

 

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『漫画家になるには その16 浦沢直樹の「漫勉」。』

Pen-and-inkdrawing Goddess
浦沢直樹の「漫勉」
友人が進めるので観てみたらこれ面白い。初回は録画撮り忘れ。

●藤田和日郎
ざっとしたネームから、ホワイト片手にいきなりペン入れ、どんどんホワイト入れていくので原稿が立体的になっていってついにはひび割れたりしてた。その分確実に迫力は出てて、まるで油絵製作を見ている様だった。しかしずっとアシさんと喋りながら仕事しているのが信じられなかった。

●浅野にいお
知らない人だと思ったら『おやすみプンプン』の人だった。写真に合わせて人物を入れるのだな。いくら手描きで加筆しようとも個人的に写真の背景もデジタル加工も好きじゃないので、どうも馴染めなかったなぁ、上手い人なんだけど。

●さいとう・たかお
「目しか描いていない」じゃなくて「顔しか描いていない」ってのが事実の様だ、それも主人公だけ。しかしそんな事よりコピックの滲みがなんか悲しい、ペンで描いてほしいと思う。ただ、彼は手塚漫画を見て漫画家を志したらしいんだけど、その手塚がさいとうの劇画に影響されてるという、その功績は改めてすごいなと感じた。

このシリーズ、とても面白い。普段他の人の制作風景なんか分からないから刺激になるし、やっぱりみんな大変なのだなと安心する。それに今の浦沢直樹なら、下の人も上の人も知ってるし、とにかく話が旨いのでまさにピッタリの人選で、次回のシリーズも大いに楽しみだ。
まぁ強いて難をあげるとしたら、上手いんだろうけど漫画家が主題歌とか唄うの恥ずかしいなぁというのと、漫画家ってカッコいいって誤解されかねないなというところかな、漫画家などヤクザな商売で全然ダサいのに、大体においてこの浦沢直樹という男はカッコつけすぎやねんWWW。

で、この番組有難いけど、漫画家というのは表に出るべきではないなと思った次第。

 

 

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『漫画家になるには その15 ハッタリの技術。』

THE SEIJI pencil Tongueはっきり言って、漫画家や小説家は嘘つきだ。少なくとも嘘が上手でなければ読者を騙すことができない。そもそも専門家でもないのに適当な知識で野球漫画、料理漫画、金融漫画を描いているのだから少々の厚顔無恥の嘘ハッタリかます奴でないと、いちいち完全な整合性を求めていたら一コマだって進まない。

「1%の可能性でもあれば望みは叶う」というのはフィクションのいい所で、残りの99%のリスクは無視していい。現実では確実に死んでる場面でもタコ糸1本ぶら下がっていれば助かっていいのである。

しかしそこには上手なハッタリがいる。あまりに都合主義バレバレでは読者が白けてしまうからだ。どうしたら自然な嘘が付けるかは普段から練習しておくべきで、「昨日宇宙人に逢った」という話を友達に信じてもらえるくらいの技術は持とう。

「これ本当の話なんだけど、昨日ね・・・」ではどうしようもない。自分の腕をチューチュー吸ってキスマークを20個くらいつけておいて「おい、これなんだと思う?実はな・・・」くらいの演出はしなくてはならない。やはり最初の掴みが肝心なのである。

相手が信じてくれた時、自分がどのように話して、どんな目つき、身振り手振りをしていたか、また話の緩急の付け方などの演出は大いに漫画の参考になる。

漫画家はシナリオライターであり演出家であり役者であり、何より嘘つきでなくてはならない。つまるところ詐欺師であるべきなのだ。

 

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『漫画家になるには その14 漫画家の大敵、三日坊主。』

THE SEIJI pencil Fickleness

1日目
物事というのは、始める前の計画段階が一番楽しい。もちろん漫画も御多分に洩れずで、「よし!漫画描こう!そして漫画で食っていこう!」と決めた瞬間の高揚感たるや。あれもしようこれもしようとワクワクドキドキで、始めてみたら「これこれ!」って感じでビックリ楽しい。もうこれ天職じゃないの?くらいの新鮮さで「才能あるかも俺」って感じるのもこの段階。

2日目
そして次の日、前日の勢いそのままに張りきってみる。昨日の天才は当然今日も天才の筈だ。筈なのだが、ん?ちょっと昨日と違う。ワクワク感ドキドキ感が薄い。ちょっと作品を冷静に見れるようにもなってるし、よく見たらちょっと粗が見えて下手っぴだったり。しかしまだまだ頑張って気を取り直して描いてみる。なにせこれで食っていくのですから、よし今日中に4ページまでは描いてしまうぞ。根性出して何とか仕上げてやりきった感。クッタクタではあるがある種の充実感に包まれて眠る。

3日目
しかし問題はその次の日で、起きて急いで昨日の成果を確認するに、これは何とひどい出来。まるで素人で、デッサンもなっていないし構成もありきたりで何より全然面白くない。もうがっくりで引き出しに原稿をほうり込んでしまってごろ寝を決め込み、スマホで有名漫画家の初期作品などを見たりして一日を無為に過ごしてしまう。そしてもうこうなったらその次の日は鉛筆すら持たないようになってしまう。このような症状を「3日坊主」と言う。

最初は何事によらず珍しくて刺激的なので頑張るんだけど、刺激に慣れてくるとすぐにだるくなってすぐに他の事に興味が行ってしまう。初めから上手い訳はないのだが、努力する事はせず描けるものだけしか描かないのでいつまでたっても上手くならない。そして上手くならない事に過度に凹んで自信喪失に陥りやる気をなくすので、結局は何も描かなくなってしまう。そのうち「話は描けないけど絵は好きだから、イラストレーターになろうかな」とか「やっぱり声優がかわいいかも!」と人生目標までコロコロ変わりだす。

 

まぁでもこの3日坊主、実はみんなそうですから(もちろん俺もそうでした)。

これが青春という奴です。青春時代はすぐにでも結果が欲しくてなぜか猛烈に焦っていて毎日バタバタ、今日は「これだ!」と思っても次の日には「あぁこれじゃない、違う。」ってそんな感じが続いてもうイライラして、これが3日坊主を呼ぶ訳です。

では一体どうしたらいいのかと言いますと、「3日でやめない」事です。3日以上続けられるように、仕事量を無理しないこと、そして一気に成果を期待せず小さい目標を立ててそれを着実にクリアすること。例えば「今日は服のしわのひじの部分だけ描けるようにする」「今日は鳥山明の模写2枚やる」「今日は何でもいいからネーム8Pに挑戦する」「今日から3日間で、自転車のタイヤを完全マスターする」とかです。着実に日々「小さい成果」を積み重ねていけば1年たてばビックリ成果出ます。

そしてやっぱりそのモチベーション(動機)を後押ししてくれるのは、「漫画が好き」という気持ちで、これが嘘っぱちならやっぱりどう頑張っても続かない。

これはプロにも多いのですが、「3話坊主」というのもある。一番すばらしい出来なのが連載1話目で、その後ドンドン手抜きになっていって終には打ち切りに至るというパターン。こういう人は基本的に「本当は描くのが好きではない」んだと思います。器用だから頑張れば描けるんだけど本当のところは好きじゃないので、抜けるところは次々抜いてしまうのです。これが一番よくない。こういう人は漫画家になってはいけない、結局本人も苦しいし、いい作品もできるわけがないのです。

というわけで日々描き続けましょう。
「漫画家になるまで描き続けた人しか漫画家になっていない」わけですから。

 

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『漫画家になるには その13 まずは原稿料で食おう。』

THE SEIJI pencil rappa

全く漫画家に限らない話なんだけど、人間一体いくらあったら生きていけるのかという話で、このところ若者に結婚願望とかなくなってきているらしいし、おひとり様なら、一ヶ月に20万あったら何とか生きていけるでしょう。

漫画家で独り立ちするに、この一ヶ月20万をクリアすればいいのだけど実は意外と簡単で、税金引きを考えてもまぁ30枚描けばいいわけです。1日1枚ならまぁどんなに描きこんでもクリアできるでしょう。

漫画業界はここ数年でシェアが半分になってしまったと言うけれど最近は紙媒体(つまり雑誌)に載せなくてもネット漫画があるから、漫画家の仕事は逆に門戸が広がった気がします。原稿料は安いし出版されることも稀で印税も期待できないけど、仕事はとりあえずあるわけです!

定期的に毎月仕事があるというのはこれ、自由業にとって何よりも大事な事です。なぜならば生活費というのは家賃から携帯代まで何から何まで毎月請求が来るからです。支払いが毎月なら収入も毎月なければ当然苦しくなります。この毎月収入というのが原稿料な訳なのです。

面白い漫画を描けば単行本化されて売れ行きが良ければ印税が入ってきますが、それはあくまで宝くじ的なボーナスと考えてまずは毎月の原稿料で食えるようになりましょう。

 

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『漫画家になるには その12 荒木飛呂彦の漫画術』

話題の本なので読んでみた。

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ちょっぱなから「王道漫画を目指すための黄金の道」って書いてある。
「読者が読みたいのはサクセスストーリーであって、」
「主人公は常にプラス、どんどん上がっていく」
「エンタメで現実を追求しない」とか・・・。
彼は漫画をエンタメと割り切っているようです。
かつ、「友情、努力、勝利」に共感できる人の様です。

俺は個人的に、彼程健全な精神を持ち合わせていないので
なんてまっすぐでまじめな人なんだろうと感心した次第。

しかしちゃんと壺は押さえてて
「売れるテーマから考えるのは間違い」
「自分が興味を持っていて、自分の心の深いところや人生に関わるものであれば、
それが仮に暗いテーマで売れそうにないと思えたとしても、
やはりそれを描こうと決意すべきだと考えます。」とありますし、
その他漫画家として見習うべき研究熱心な成果が満載されてます。
(各キャラの身上調査書を作るとか)

多分俺もこんなに年取ってひねくれる前だったら
この本読んでまっしぐらに健全な漫画に突き進んでいけたんだろうなぁ。

ま、でもお世辞抜きで、漫画家を目指す若い人は
是非読んでおいてほしい本です。
特に「少年ジャンプ」を目指してる人には必読書だと思います!

この本読んで思ったのですが
実際問題、漫画は「アート」なのか「エンタメ」なのか?
これについてはまた後日やりましょう。

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『漫画家になるには その11 魂売りますよね?』

自分の好きな作品を描いて、それをそのまま編集が気に入り、
一気に雑誌に掲載されて大人気、連載決定の単行本バカ売れ初版100万部。
こんな幸福な漫画家はまずいないと言っていいでしょう。

自分が描きたいものというのは、大抵の場合売れないし、
その前に編集からストップがかかります。
それは大抵、独りよがりだったり、ありきたりだったり、
ナルシスティックだったり、大向うを狙いすぎだったりするからです。
漫画の専門学校などで「君の個性を発揮した作品を描け」とか言われますが、
あんまり独自すぎるものは売れません。
実際は「君の個性を破棄した作品を描け」の方が正しいくらいです。
つまり普通に美少女が描ける作家がいたら、
その美少女が延々と水虫治療をしている漫画を描くよりは、
普通の学園物で、例えば文化祭で主人公とキスするはめになって、
キャ~みたいな方が断然売れるのです。

THE SEIJI pencil Soul

「魂を売る」という言葉があります。
「君が本当に描きたいものは、一回売れてからね、それから描けばいいんだから」
という編集さんの悪魔のささやきに乗ってしまうことを言います。
で、とりあえず売れないと話にならないとばかり
編集さんの言うがまま、本来描きたい「大江戸サウスポー」は封印して
売れ線の「進撃の恋人(シンコイ)」を描くことに同意するというわけです。

さて、こんな時
あなたならどうしますか?

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『漫画家になるには その10 編集とは何者だ?』

THE SEIJI pencil Editor

作品ができたら、まず最初の関門がこの人達、編集である。
読者に読んでもらう前に、彼らに気にいられなくては作品は世に出ない。

早稲田とかの文学部を出て出版社に就職、
若い新人を見てくれるのは大抵若い編集さんだ。
新人漫画家を前に弱気なところは見せられないので
虚勢をはって偉そうであるが、彼ら自身経験も浅く
いったいどんな漫画が売れるのか、さっぱりわかっていない。
しかし会社員として、はやく成果を出したい
またそれなりの夢もあるので、時として理想主義的頓珍漢な指導が入ったりする。
でも大抵2日酔いなので、言ったことを覚えていなかったりする。
ちょっと面倒な人種と言えるかもしれない。
さてこの人達にどう対処するべきか。

基本的に「編集といえどもサラリーマンである」と心得よう。
彼らの立場に立ってみると、日本文化に携わる前に一会社員だから、早く帰りたい。
だから仕事は手早く済ませたいし、面倒な漫画家は相手にしたくない。
出来たら素直に直しに応じてくれる漫画家がいいし、
話をしてても面白い人がいいかな。

まぁ大体こんな風に考えているので、こちらはそのような漫画家になれば
可愛がってもらえるというわけです。
編集さんを味方に付ければデビューはぐっと早まります。
と言うより編集さんに嫌われたら、
余程実力が無いといろいろはかどらないでしょう。

最初のうちは出来るだけ素直に
編集さんの意向をくみ取って直しに応じましょう。

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『漫画家になるには その9 アシスタントをするべきか?』

THE SEIJI pencil Assistant個人的なことを言うと、人から指示されるのが嫌いな性格なので、
アシスタント経験はありません。
アシ経験は漫画家になる必要条件ではない事は確か。
でも今なら、1週間くらいやってみたい、
基本的に漫画製作にそれほど特殊な技術はいらないんだけど、
ちょっとしたコツとか工夫みたいなものが
やっぱりそれぞれの先生で持っておられるので
それが知りたいとは思います。

まぁでもアシをする上でデメリットも多いのではないかと。
まずはアシなどやってて自分の作品が描けるのか?
忙しい仲、そんな時間と気力が残るのか?
狭い部屋に押し込まれて先生に叱られ先輩にいびられ、精神病まないのか?
給料安くても高くても、その生活から抜け出せるのか?等々です。

多分アシになる人は、コンビニで働くよりアシの方がはるかに目標に近い、
もしくは純粋に上手い先生の下で画力その他スキルアップしたい
というのが理由だろうけど、漫画家に必要なのは画力より経験値だから。
アシ経験5年の人と外人部隊経験5年の人だったら、
絶対外人部隊の人の漫画の方が面白い。

個人的にはアシするより珍しい仕事した方が
はるかに有利だと思います。
その辺を考えてアシするかどうか決めた方がいいと思いますね。

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