高齢の親が「実家を整理してくれ。」と言うので、いる物といらない物を選別しようという事になっていちいち聞いていたのだが、ほぼいらない物だらけだった。様々な本、几帳面につけてたノート類、文具、服、宝飾品、賞状、トロフィー、食器類、家電、日常雑貨、果ては商品券までいらないと言う。
そんな中で「これは要る。」と言ったのがタオルだった。その結果こんなにたくさんタオルばかりいらないだろうと思う程の量が残ったわけだが、「もう社会のことにまるで関心がなくなった。」と言う親は、食事と寝る事以外は何もしていないので、タオルはまさに一番身近な必需品なのだろう。
考えてみたら世間と没交渉になってしまったら、服でも宝飾品でも自分を賢く見せたり偉く見せたりするものは全く必要ない。揃えた文学全集は字が小さくて見えないし、カシミヤのコートは着て行く所がないし、ダイヤのカフスもタイピンも出番はもうない。名誉の賞状も国家資格認定証も今となっては意味がない。
まぁいかに家の中に溢れている物達が、自分をよく見せようと飾るための虚飾に満ちた偽物ばかりか、ホトホト考えさせられた。
そんな事より優先すべきは快適な睡眠であって、人生のラストで必要なのは肌触りいい木綿のタオルだな。